不動産営業の求人に応募が来ない理由|若手に「仕事内容」と「稼ぎ方」を伝える方法
「不動産営業の求人を出しているのに、若手から応募が来ない」。この状況が続くと、知名度や給与条件で大手企業に負けているから仕方がない、と考えてしまいがちです。しかし、求職者が比べているのは会社の規模だけではありません。求人広告を読んだ時点で、入社後の仕事、成果が出るまでの過程、収入の決まり方、困ったときの支援を具体的に想像できるかどうかも、応募先を選ぶ大きな判断材料になります。
「反響営業」「高収入可能」「幅広い業務を経験できる」といった短い言葉だけでは、会社側が伝えたい魅力と、若手が受け取る印象にずれが生まれます。本記事では、不動産営業の求人に応募が来ない理由を整理したうえで、仕事内容と稼ぎ方をどのように可視化すればよいかを、求人表現の比較例とともに解説します。
この記事の内容
不動産営業の求人に応募が来ないのは「判断材料」が足りないから
不動産営業の採用が難航したとき、最初に見直されやすいのは給与額、休日数、求人媒体、会社の知名度です。もちろん、これらは応募判断に影響します。ただし、条件を整えたり掲載先を増やしたりしても、求人広告の中身が抽象的なままでは、若手の不安は解消されません。
特に業界未経験の求職者は、不動産営業という仕事を具体的に知りません。「不動産営業募集」と書かれていても、売買仲介なのか、買取再販の仕入れなのか、問い合わせを受けて動くのか、自分で顧客を探すのかによって、働き方は大きく変わります。会社にとって当たり前の仕事ほど説明を省きやすい一方、求職者は書かれていない部分を想像で補うしかありません。
魅力のつもりで書いた言葉が、不安を残すこともある
次の表現は、不動産求人で使いやすい反面、それだけでは実際の働き方を伝えきれません。
- 「不動産営業」:扱う物件、顧客、営業手法、担当範囲が分かりません。
- 「反響営業」:反響の発生経路や担当件数、新規開拓の有無が分かりません。
- 「高収入可能」:誰が、何を、どの水準まで達成すれば収入に反映されるのかが分かりません。
- 「幅広い業務を経験できる」:成長機会なのか、教育なしで仕事を任されるのかを判断できません。
情報が不足すると、若手は「入社しても放置されるのではないか」「実際は新規開拓ばかりではないか」「稼げるのは一部の人だけではないか」「何でも任されるブラックな職場ではないか」と考えます。これは会社の実態が悪いからではなく、実態を判断できる材料が求人広告にないために生まれる不安です。
一方、採用人数の多い会社では、仕事内容、研修の流れ、評価制度、配属後のキャリアなどが採用ページ上で整理されていることがあります。若手がそちらを選ぶように見えても、「大手企業の方が優れている」とは限りません。比較しやすく、入社後の自分を想像しやすい求人へ応募が流れている可能性があります。会社独自の面白さや成長機会があっても、言葉になっていなければ比較の土俵に上がれません。
若手採用では、待遇だけでなく説明・教育・評価も切り離せない
厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査の概況」では、若年正社員の定着に向けた対策を行っている事業所は73.7%でした。対策を行う事業所の回答には、「採用前の詳細な説明・情報提供」58.4%、「教育訓練の実施・援助」48.5%、「仕事の成果に見合った賃金」39.1%、「昇格・昇任基準の明確化」30.5%が含まれています。これは定着対策に関する複数回答の調査であり、求人広告を詳しくすれば応募が増えることを直接証明する数値ではありません。ただ、若手雇用を考えるうえで、採用前の情報、入社後の教育、成果と処遇のつながりを一体で設計する必要性を示す背景資料にはなります。
また、2024年4月から求人申込み時に明示する労働条件として、業務や就業場所の変更範囲などが追加されています。詳細は厚生労働省の求人申込みにおける明示事項の案内で確認できます。ただし、法令上必要な項目を埋めることは出発点です。「一日の中で何をするのか」「いつまで誰が教えるのか」「成果はどう評価されるのか」まで書いて初めて、応募を検討するための情報になります。
POINT
不動産営業の求人に応募が来ないときは、待遇を変える前に、求職者が仕事内容・稼ぎ方・教育体制を具体的に判断できる状態かを確認しましょう。
若手に伝わる不動産営業の仕事内容と稼ぎ方の可視化
求人広告で仕事内容を具体化するとは、業務を細かく列挙することではありません。入社後にどの順番で顧客と関わり、どこまでを担当し、各段階で何を覚えるのかを一つの流れとして見せることです。売買仲介営業であれば、問い合わせ対応から引き渡しまでの顧客体験に沿って説明すると、未経験者にも伝わりやすくなります。

問い合わせから引き渡しまでを、行動単位で伝える
たとえば「反響営業をお任せします」ではなく、次のように工程を分けます。
- 問い合わせ対応:物件情報や相談フォームなどから届いた問い合わせへ連絡し、来店やオンライン相談の日程を調整します。
- ヒアリング:希望エリア、予算、家族構成、購入時期、暮らし方などを確認します。
- 物件提案・案内:条件に合う物件を探し、比較の理由を説明したうえで現地を案内します。
- 資金計画:購入時に必要な費用を整理し、無理のない資金計画を顧客と確認します。
- 契約・住宅ローン:社内や関係者の確認を受けながら、契約準備や住宅ローン手続きを進めます。
- 引き渡し:決済や鍵の受け渡しまで進行を管理し、購入後の相談窓口も案内します。
会社によって、契約書類は専門部署が担う、住宅ローン手続きは営業が支援する、引き渡し後も営業が窓口になる、といった違いがあります。どの形が正解ということではありません。自社の担当範囲と連携先を明示し、「営業一人ですべてを抱えるわけではない」「ここまでは自分で経験できる」の両方を伝えることが重要です。
「反響営業」は、反響の中身と新規開拓の有無まで書く
若手が気にするのは、反響営業という名称よりも、顧客と出会う方法です。自社サイト、物件情報への問い合わせ、既存顧客からの紹介、来店など、実際の入口を記載しましょう。電話や訪問による新規開拓がある場合は隠さず、全体の中でどのような目的で行うのかを説明します。ない場合も「原則として問い合わせ対応が起点です」など、実態に沿って明記します。
さらに、入社後に扱う仕事量の目安があると、働き方を想像しやすくなります。たとえば、月あたりの問い合わせ担当数、顧客との商談数、物件案内数、同時に担当する案件数などです。ただし、根拠のない平均値や理想値を載せてはいけません。直近の社内実績を確認し、繁忙期による変動や担当方法も添えます。数値を公開しにくい場合は、「最初は先輩の案件に同行し、対応できる工程から担当を増やす」のように、仕事量が増える順序を示す方法もあります。
歩合・インセンティブは「ある・ない」より、収入までの道筋を示す
「頑張りはインセンティブで還元」「年齢に関係なく高収入可能」という表現だけでは、求職者は自分に再現できる仕組みか判断できません。稼ぎ方を伝える際は、少なくとも次の項目を整理します。
- 固定給に含まれる手当と、別途支給される手当
- 歩合・インセンティブの対象になる成果
- 契約時、決済時など、評価が確定する時点
- 個人評価とチーム評価のどちらを採用しているか
- 支給時期と、キャンセルなどが生じた場合の扱い
- 成果を出すまでに会社が提供する反響、同行、教育、事務支援
計算式や支給例を載せられる場合は、実際の賃金規程や運用と一致させます。「売上○円なら歩合○円」のような架空のモデルを見栄えのために作るのではなく、自社で説明可能な条件だけを使ってください。個別の条件が複雑で求人広告に載せきれない場合は、評価対象と支給のタイミングを本文で示し、面接時に計算例と規程を説明すると案内する方法もあります。
収入の説明では、結果だけでなく、結果へ至る行動も言葉にします。問い合わせへ早く正確に対応する、顧客の希望を整理する、比較しやすい物件提案を行う、資金面の不安を解消する、契約手続きを滞りなく進める、といった行動が成果につながることを示します。これにより、未経験者も「特別な才能がある人だけが稼ぐ仕事」ではなく、学ぶ対象と評価の接点を理解できます。
入社後3か月・半年・1年の成長イメージを描く
若手が知りたいのは、最終的な年収だけではありません。入社直後に何を学び、どの時点で一人で担当し、困ったときに誰へ相談できるかです。成長過程は、期間、経験する業務、到達の目安、支援する人をセットで示します。

| 時期 | 経験・到達イメージ | 支援内容の見せ方 |
|---|---|---|
| 入社後3か月 | 物件知識、接客の基本、業務ツール、契約の基礎を学び、問い合わせ対応や案内へ段階的に参加する | 座学の内容、同行する先輩、ロールプレイ、案件前後の確認方法を記載する |
| 半年 | 担当案件を持ち、ヒアリングから提案・案内までを主体的に進める。契約準備は責任者の確認を受ける | 商談への同席条件、書類のダブルチェック、週次面談など、相談のタイミングを示す |
| 1年 | 問い合わせから引き渡しまで一連の業務を担当し、案件ごとの課題を振り返って次の提案へ生かす | 難しい案件の支援者、評価面談、次に伸ばす専門性や役割を示す |
この期間はあくまで書き方の枠組みです。実際の独り立ちの時期は、会社の教育内容や本人の習熟度によって変わります。求人広告には自社の実態を記載し、「必ず3か月で独り立ちできる」といった保証に見える表現は避けましょう。到達目安と、習熟が十分でない場合のフォロー方法を併記すると、より誠実です。
求人に載せる順序
「仕事の流れ」→「担当量・担当範囲」→「成果につながる行動」→「評価と支給」→「3か月・半年・1年の支援」の順に整理すると、仕事内容と稼ぎ方が一本の道筋として伝わります。
会社ならではの成長機会を「丸投げ」に見せない求人広告の作り方
会社の知名度だけで比べられたくないなら、その会社で働くからこそ得られる経験を具体化する必要があります。不動産売買の仕事は、会社ごとに分業の範囲、取り扱う物件、顧客との関わり方が異なります。その違いは、若手にとって仕事の面白さや将来の選択肢になり得ます。
一貫して関われる仕事は、身につく経験へ翻訳する
組織によっては分業されることのある契約準備や住宅ローン手続きにも、営業担当者が一貫して関わる会社があります。その場合は、単に「ワンストップで担当」と書くだけでなく、どの経験値が身につくのかを説明します。
- 顧客の希望を引き出し、優先順位を整理する営業力
- 契約条件と手続きの流れを理解し、関係者と調整する力
- 資金計画や住宅ローンの基礎を踏まえて説明する力
- 立地、状態、価格などから物件を比較・判断する視点
- 引き渡しまでの工程を逆算し、案件を管理する力
ただし、「一人で完結できる」ことと「一人に責任を集中させる」ことは別です。どの段階で上司や専門担当が確認するのか、契約前に誰が書類を点検するのか、融資や法務に関する不明点を誰へ相談するのかもセットで記載します。経験の広さと確認体制が両方見えると、成長機会として受け取られやすくなります。
仕入れ営業なら、物件を「商品にする」過程まで見せる
売買物件の仕入れを行う会社では、営業が物件を仕入れて終わりではなく、リフォーム内容や販売方法などの商品づくりに参加できる場合があります。これも「幅広い業務」という一言では伝わりません。
たとえば、仕入れ候補の物件を調査し、想定する顧客を考え、工事担当者とリフォーム内容を検討し、価格や販売時の見せ方について意見を出す、と工程に分けます。自分の提案が採用される範囲や、最終判断を行う責任者も示しましょう。営業力だけでなく、物件判断、収支の考え方、商品企画、販売戦略まで学べることが伝わります。
経営者や責任者との距離が近い会社であれば、相談から意思決定までが早いこと、自分の提案を仕事へ反映しやすいことも魅力になります。ただし、「社長との距離が近い」「風通しが良い」といった抽象語で終わらせず、「仕入れ検討会で担当者も提案する」「販売方法の案を責任者へ直接共有できる」など、実際に起きる場面へ置き換えます。
抽象的な求人表現を、判断できる表現へ変える
求人原稿を見直すときは、形容詞を増やすのではなく、対象、行動、順序、支援者を足します。以下は表現を具体化する考え方の例です。右欄をそのまま使うのではなく、自社の業務と制度に合わせて調整してください。
| 抽象的な表現 | 具体化した表現の例 |
|---|---|
| 反響営業が中心です | 物件情報などへの問い合わせ対応から始まり、希望条件のヒアリング、物件提案、案内を担当します。新規開拓の有無と方法も実態に沿って記載します。 |
| 未経験でも安心です | 入社後は物件知識と接客の基礎を学び、先輩の案内へ同行します。最初の担当案件は、商談前後に責任者と内容を確認します。 |
| 高収入を目指せます | 固定給に加え、会社が定める成果を評価する制度があります。評価対象、確定時点、計算方法、支給時期を求人または面接で説明します。 |
| 幅広い業務を経験できます | ヒアリングから引き渡しまで担当し、契約準備と住宅ローン手続きも先輩・責任者の確認を受けながら経験します。 |
| 裁量の大きい環境です | 物件提案や販売方法について担当者も案を出し、責任者と相談して実行します。決裁が必要な範囲も明示します。 |
| 何でも任せます | 習熟度に応じて、問い合わせ対応、案内、商談、契約準備の順に担当範囲を広げます。書類は所定の手順で確認を受けます。 |
仕事内容と同じ解像度で、支援体制を書く
「何でも任せます」「若いうちから幅広く経験できます」という言葉だけでは、教育体制がなく仕事を丸投げされる印象になりかねません。研修制度の名称を並べるだけでも不十分です。実際に誰が、どの場面で、どのように支えるのかを明らかにします。
- 研修:物件、契約、接客、社内システムなど、何を学ぶのか
- 同行:どの商談や案内に同行し、終了後に何を振り返るのか
- 確認体制:提案内容、資金計画、契約書類を誰が確認するのか
- 相談相手:直属の上司、教育担当、専門担当など、内容別の窓口は誰か
- 面談:定期面談の有無と、案件・成長・働き方のどれを話すのか
制度化された研修が少ない会社でも、実際に行っている支援はあるはずです。朝会で案件を確認する、初回商談の前に提案内容をすり合わせる、契約前に責任者が書類を確認する、といった日常の運用を拾い上げれば、誇張せずに安心材料を増やせます。反対に、求人へ書きたい支援が現場で実施されていないなら、先に社内の受け入れ体制を整える必要があります。
掲載前に確認したい求人広告チェックリスト
- 売買仲介、仕入れなど、募集する不動産営業の役割が明確か
- 顧客と出会う方法と、新規開拓の有無を説明しているか
- 問い合わせから引き渡しまで、担当する工程が分かるか
- 仕事量の目安を、実態に基づいて示しているか
- 成果につながる行動と、評価対象が結びついているか
- 歩合・インセンティブの条件と支給時期を説明できるか
- 3か月、半年、1年の成長イメージが現場の運用と一致しているか
- 研修、同行、確認、相談相手を具体的に示しているか
- 一貫して経験できる業務と、身につく力が結びついているか
- 求人広告、面接、採用サイトの説明に食い違いがないか
すべてを一つの求人広告へ詰め込む必要はありません。検索結果で最初に見られる求人広告には、応募判断に直結する仕事の流れ、担当範囲、給与・評価、初期教育を優先して載せます。社員の声、詳しい成長事例、仕入れや商品づくりの考え方は採用サイトや求人LPへ掲載し、相互に行き来できる導線を作ると整理しやすくなります。
RELIKE RECRUIT
RELIKE RECRUITでは、同じ不動産業界で事業を行う視点を生かし、不動産・建築業界に特化した採用支援を行っています。採用課題に合わせて、求人広告掲載、定額制の求人検索エンジン運用、採用サイト・求人LP制作を組み合わせてご提案します。
- 求人広告掲載:採用したい人物に合わせて掲載方法を検討し、経験者にも未経験者にも伝わる原稿へ整理します。
- 定額制 求人検索エンジン運用:月額定額制で継続的な運用と改善を行い、安定した採用活動を支援します。
- 採用サイト・求人LP制作:会社や仕事の魅力を詳しく伝え、応募につながる情報の受け皿を制作します。
まとめ|若手が応募できるだけの安心材料をそろえる
不動産営業の求人に応募が来ない理由を、会社の規模や知名度だけに求めると、自社で改善できる情報設計を見落としてしまいます。若手が会社の規模だけで応募先を決めているのではなく、判断できるだけの安心材料が求人広告にないため、仕事内容や教育制度が分かりやすい会社へ流れている可能性があります。
改善の起点は、会社を実際以上に良く見せることではありません。問い合わせ対応、ヒアリング、物件提案、案内、資金計画、契約、住宅ローン、引き渡しという仕事の流れを整理し、自社ではどこまで担当するのかを示します。そのうえで、何を経験し、何ができるようになれば成果につながるのか、成果がいつどのように収入へ反映されるのかを結びつけます。
さらに、入社後3か月、半年、1年の成長過程と、研修、同行、確認体制、相談相手をセットで伝えましょう。一連の業務に関われること、契約や融資の知識が身につくこと、仕入れからリフォーム・販売方法の検討まで参加できること、経営者や責任者へ提案しやすいことなど、自社に本当にある経験を具体的な場面へ置き換えます。
求人広告の役割は、期待だけを高めることではなく、求職者が自分に合う仕事かを判断できる状態をつくることです。仕事の流れ、稼ぎ方、成長過程、支援体制、その会社で得られる経験を誠実に可視化することが、若手の不安を減らし、納得した応募につながります。
不動産売買営業