少人数の不動産会社が賃貸営業を1人採用する方法|求人掲載から入社まで
賃貸営業を1人採用したいものの、専任の採用担当者がいないため、社長や店長が求人掲載、応募対応、面接まで兼務している不動産会社は少なくありません。通常業務が忙しいなかで採用を進めると、「まず求人を出し、応募が来てから選考方法を考えよう」となりがちです。しかし、この進め方では連絡が遅れ、面接ごとに判断基準が変わり、採用できないまま掲載期間だけが過ぎやすくなります。
少人数の不動産会社が賃貸営業を1人採用するために、大規模な採用活動は必要ありません。必要なのは、どのような1人を迎えたいのかを具体化し、求人掲載から応募、面接、内定、入社、教育までを一つの流れとして先に設計することです。社長が決めるべきことと、求人原稿の作成や掲載後の改善など外部へ任せられることを分ければ、採用担当者がいない会社でも無理なく動けます。
この記事では、不動産会社が賃貸営業を採用する際の準備と実務を、9つのステップで解説します。知名度や採用予算だけに頼らず、仕事内容を具体的に伝え、応募者へ早く対応し、入社後の働き方まで見せるための実践的な進め方です。
賃貸営業を1人採用する前に決めること
「営業が足りないから1人ほしい」という状態のまま求人原稿を書き始めると、仕事内容も応募条件も曖昧になります。最初に決めるべきなのは人数ではなく、現在の店舗で何を担う人が必要なのかです。退職者の補充であっても、前任者の条件をそのままコピーせず、いま滞っている業務と入社後に期待する役割を洗い出します。
経験者か未経験者かで、求人の設計を分ける
経験者を採用したい場合は、担当する反響、顧客層、物件種別、営業エリア、契約業務の範囲、裁量、報酬の考え方など、転職後の働き方を比較できる情報が重要です。一方、未経験者には、賃貸営業の仕事の流れ、研修、同行、質問相手、独り立ちの目安を丁寧に示す必要があります。
「経験者歓迎・未経験者歓迎」と一つの求人に並べること自体が問題なのではありません。ただし、同じ仕事内容、同じ教育、同じ期待役割だけを載せると、経験者には物足りず、未経験者には難しく見えます。両方を対象にするなら、入社時の経験によって任せる業務、教育方法、選考で確認する点がどう変わるのかを書き分けます。それが難しい場合は、どちらを優先する募集なのかを決めた方が、訴求は明確になります。
「営業」の中身を、店舗の実務まで分解する
賃貸営業の求人には、問い合わせ対応、希望条件のヒアリング、物件提案、来店対応、現地案内、申込受付、契約や鍵渡しの準備といった顧客対応の流れを示します。加えて、物件写真の撮影、空室確認、物件情報の入力、電話対応、追客、契約書類の準備などを営業が担当するのか、事務担当者と分担するのかも明らかにします。
営業活動に集中してもらうのか、店舗運営に関わる業務も一緒に担ってもらうのかで、合う人は変わります。少人数の店舗では、顧客対応から情報更新まで幅広く関わることが、仕事の全体像を理解できる魅力になる場合があります。一方、「店舗業務全般」「何でもお任せします」だけでは、担当範囲が際限なく広がる印象を与えます。主業務、付随業務、他の社員が担う業務に分けて説明することが大切です。
必須条件と、入社後に身につけられる条件を分ける
採用条件を増やすほど安心に見えますが、実務上なくても育成できる条件まで必須にすると、応募できる人を自ら狭めます。運転免許、接客経験、業界経験、資格、特定のシステム経験などを一つずつ確認し、「入社初日から必要」「入社後に学べる」「あれば仕事の習得が早い」に分けてください。
同時に、誰が教えるのか、教育に使える時間はあるのか、いつまでに一人で顧客対応ができる状態を目指すのかを決めます。未経験者を歓迎すると書いても、同行できる社員がおらず、質問への対応時間も取れないなら、受け入れ条件が整っているとはいえません。採用可能性を広げる言葉と、実際の教育能力を一致させる必要があります。
採用できる条件か、周辺の求人と比較する
給与、インセンティブ、休日、勤務時間、担当業務は、自社だけを見ても妥当性を判断できません。同じ地域で同種の賃貸営業を募集している求人を確認し、応募者が比較する項目ごとに違いを整理します。特定の求人を一度見るだけではなく、募集時点の複数の情報を確認し、実態と異なる条件へ無理に合わせないことも重要です。
条件面で大きく上回れない場合でも、仕事の具体性、教育の丁寧さ、担当できる範囲、意思決定の速さ、社長や店長へ相談しやすい距離、提案を店舗運営へ反映しやすい環境は違いになります。ただし、「アットホーム」「頑張れば稼げる」「やりがいのある仕事」といった抽象語だけでは比較材料になりません。誰と働き、誰が確認し、どのような提案を任せるのかまで具体化します。
少人数であることを隠す必要もありません。店舗の人数と役割、休みの日の引き継ぎ方法、困ったときの相談先を示せば、応募者は小さな組織での働き方を判断できます。会社を実際以上に大きく見せるより、入社後の姿を正確に想像できる求人の方が、認識のずれを減らせます。
POINT
採用したい人物像は「明るい人」「やる気のある人」ではなく、担当業務、必要な経験、入社後に教える内容、独り立ちの目安までセットで決めます。
採用担当者がいない会社の求人掲載9ステップ
採用担当者がいない会社ほど、採用業務を思いついた順に進めないことが重要です。次の9ステップを掲載前に一度確認し、誰が、いつ、何を行うかを決めます。すべてを完璧に準備してから動くという意味ではありません。応募が来た後に慌てないため、最低限の判断と連絡の流れを先につくる考え方です。

1.採用する人物と担当業務を決める
経験者と未経験者のどちらを優先するか、顧客対応のどこからどこまでを任せるか、店舗業務にも関わってもらうかを決めます。「将来の店長候補」と書く場合は、最初に担う仕事と、役割が広がる条件も必要です。欠員を埋めることだけを目的にせず、その1人が入ることで誰のどの負担を減らし、店舗をどの状態へ変えたいのかまで言葉にします。
2.給与や休日などの募集条件を確認する
固定給、インセンティブの評価対象と支給時期、勤務時間、休日、試用期間、勤務地、異動の可能性などを整理します。報酬については「頑張りを還元」だけで終わらせず、何を成果として評価し、いつ確定して給与へ反映するのかを説明できる状態にします。ここで曖昧なままにした項目は、求人原稿、面接、内定時の説明で食い違いやすくなります。
3.賃貸営業の求人原稿を作成する
求人原稿には、反響を受けてから来店、物件提案、案内、申込、契約準備、鍵渡しまでの流れを書きます。物件撮影や情報入力、契約準備を営業が行うのかも示してください。さらに、通常期の1日の流れ、繁忙期に増える業務、主な顧客や物件、店舗の人数と各社員の役割を加えると、働く姿が具体的になります。
研修は「丁寧に教えます」ではなく、最初に覚えること、同行する期間、一人で接客を始める目安、確認を担当する人まで書きます。少人数だからこそ任せられる提案や裁量があるなら、何を自分で決められ、何を責任者へ確認するのかを分けます。実際の店舗、社員、接客風景、扱う物件が分かる写真や情報も、応募者が職場を判断する材料になります。
厚生労働省は「労働者の募集広告の表示について」で、募集情報に虚偽または誤解を生じさせる表示をしてはならないことや、募集主、業務内容、就業場所、賃金などを表示する必要があることを案内しています。魅力を伝えることと、都合の悪い部分を伏せることは別です。求人時点で実際の担当業務と条件を分かるようにすることが、入社後の行き違いを防ぎます。
4.掲載先を選んで募集を開始する
主な募集経路には、求人媒体、求人検索エンジン、自社採用ページ、公的な求人サービス、社員や取引先からの紹介などがあります。求人媒体は募集情報を求職者へ届けやすい一方、掲載期間と費用を踏まえた選定が必要です。求人検索エンジンは検索条件に合う求人を見つけてもらう経路になりますが、掲載後も職種名や原稿の見直しが欠かせません。自社採用ページは写真や仕事の流れを詳しく伝えられますが、そこへ訪れてもらう導線も必要です。
公的な求人サービスは選択肢の一つですが、求人情報の登録や応募対応を自社で適切に運用する必要があります。紹介は会社を知る人から候補者へ背景を伝えやすい反面、いつでも必要な人へ届くとは限りません。予算、採用期限、経験者か未経験者かを踏まえ、中心となる募集経路を決めます。複数の掲載先へ少額ずつ無計画に分散すると、どの経路と原稿が機能したのか判断しにくくなります。
5.応募状況を定期的に確認して原稿を改善する
求人を掲載した後は、応募数だけを見るのではなく、採用のどの段階で止まっているかを確認します。求人がほとんど見られていないなら、職種名、勤務地、掲載先、検索される言葉を見直します。閲覧されているのに応募がないなら、条件、仕事内容、写真、教育の説明、応募方法が分かりやすいかを確認します。
応募はあるのに面接へ進まない場合は、応募条件が広すぎないか、最初の返信が遅くないか、連絡方法が応募者に届いているかを見ます。面接しても採用できない場合は、求める人物像や評価基準が厳しすぎないかを再確認します。内定を出しても入社へ至らない場合は、条件説明、選考中の対応、入社後への不安に原因がないかを振り返ります。閲覧、応募、面接、内定、入社を一つの流れとして見ると、求人原稿だけではない改善点が見つかります。
6.応募者へ早く連絡する
少人数の会社では、社長が接客や契約で電話に出られないことがあります。それでも、社長の予定が空くまで応募を止めてはいけません。応募通知を最初に確認する人、受付を知らせる返信文、面接候補日時、電話がつながらない場合の連絡手段を決めておきます。応募者からよく聞かれる仕事内容、休日、選考回数、持ち物なども、すぐ回答できるよう整理します。
7.共通の採用基準で面接する
面接前に、必須条件と歓迎条件を分け、全員へ確認する質問と評価項目を決めます。接客経験の有無だけでなく、顧客の希望を聞く姿勢、複数案件を継続して追客できるか、賃貸営業の仕事をどう理解しているか、入社可能時期などを同じ観点で確認します。話し方や第一印象だけで、その場の感覚による採用・不採用を決めないことが重要です。
8.条件を書面で説明して内定を出す
採用を決めたら、給与、勤務時間、休日、試用期間、担当業務などを口頭だけで済ませず、書面で示します。採用理由と期待する役割も伝えると、本人は何を見て評価されたのかを理解できます。面接時の説明、求人原稿、書面の条件に違いがないか、内定を出す前に確認してください。
9.入社前の案内と教育準備を行う
入社日が決まったら、初日の出勤時間、持ち物、服装、連絡先、当日の予定を案内します。現在の仕事の退職時期を確認し、会社都合だけで無理な入社日を求めないことも大切です。内定から入社まで期間が空く場合は、必要な確認や案内を途切れさせず、不安や条件変更の有無を確認します。
同時に、初日に説明する内容、最初の1週間で覚える業務、同行と接客練習の期間、一人で接客を始める目安、困ったときに質問する相手、入社後1か月から3か月程度の目標を準備します。採用できた時点ではなく、新しい社員が仕事を覚え、店舗で役割を持てる状態までを採用活動として考えます。
掲載後の確認
「応募が少ない」で止めず、閲覧、応募、面接、内定、入社のどこで人数が減っているかを確認すると、次に直すべき箇所を絞れます。
応募対応・面接・内定・教育を止めない仕組み
採用の9ステップを実行するには、社長の記憶や空き時間だけに頼らない仕組みが必要です。少人数の会社には、社長が応募者と直接話し、会社の考えを自分の言葉で伝えられる強みがあります。意思決定者が面接に参加するため、条件の確認や最終判断を早く進めやすい点も魅力です。ただし、最初の連絡が遅ければ、その強みが応募者へ伝わる前に選考が止まります。
応募対応は「通知・返信・日程」の3点を定型化する
応募通知を誰が見るかを決め、担当者が不在のときの代理も設定します。最初の返信には、応募へのお礼、今後の流れ、確認したい事項、面接候補日を入れたひな形を用意します。面接可能な曜日と時間をあらかじめ確保しておけば、社長の予定表を毎回確認してから返信する必要がありません。
電話に出られない場合は、留守番電話、メールなど、次に使う連絡手段を統一します。応募者から質問が来たときに回答が人によって変わらないよう、仕事内容、勤務条件、選考の流れ、面接場所、持ち物の情報も一か所にまとめます。自動的な連絡だけで完結させるのではなく、応募を受け付けたことと次の行動を早く伝え、候補者が待つ状態をなくすための準備です。
面接は評価と仕事内容の説明を両立させる
面接は会社が応募者を選ぶだけの場ではありません。応募者も、求人に書かれた仕事と実際の働き方が一致するかを確かめています。社長が会社の歴史や方針を一方的に話すのではなく、応募理由や転職理由に加えて、どのような顧客対応をしたいのか、何を身につけたいのか、希望する働き方は何かを確認します。
会社側からは、良い部分だけでなく、担当業務、物件撮影や情報入力の有無、繁忙期の変化、反響の扱い、評価制度、教育方法を具体的に説明します。分からない事項へ曖昧に答えると、後の説明と食い違います。その場で判断できないことは確認してから回答し、誰がいつ返すかを伝えてください。
厚生労働省の「公正な採用選考の基本」では、応募者の適性・能力に基づく採用選考を基本としています。また、同省の「採用選考の具体的な方法」では、質問項目と評価基準をあらかじめ決め、客観的かつ公正に評価することが案内されています。家族や本籍など仕事と関係のない事項へ踏み込まず、賃貸営業の業務に必要な行動と能力を共通基準で確認します。
内定条件と入社後の役割を同じ言葉で伝える
内定時には、労働条件を書面で示し、求人と面接で説明した内容との違いがないかを双方で確認します。厚生労働省の「労働基準法に関するQ&A」では、労働契約の締結時に賃金、労働時間などの労働条件を明示する必要があり、一定の事項は書面で明示しなければならないと説明されています。実際に交付する書面は、自社の就業規則や契約内容と整合させてください。
条件だけでなく、「なぜ採用したのか」「最初にどの役割を期待しているのか」を伝えます。経験者なら早く任せたい業務と確認が必要な業務、未経験者なら最初に学ぶ業務と独り立ちの判断基準を示します。期待が具体的であれば、入社前の過度な期待と不安の両方を抑えやすくなります。
教育は初日・1週間・1〜3か月に分ける
初日は、会社と店舗の方針、勤怠や連絡方法、個人情報の扱い、社内システム、店舗内の役割を説明します。最初の1週間は、エリアと物件の基礎、問い合わせの受け方、物件検索、先輩の接客同席、入力や写真のルールなど、顧客対応の土台を整えます。
その後は、電話やメールの初動、希望条件のヒアリング、物件提案、案内、申込対応と、担当範囲を段階的に広げます。一人で接客を始める日を一律に決めるのではなく、ロールプレイや同行で確認した項目を満たしているかで判断します。質問相手が休日のときの代替者も決めておけば、新入社員が判断に迷った案件を抱え込まずに済みます。
入社後1か月から3か月程度の目標は、売上だけに限定せず、業務習得と顧客対応の段階を含めます。たとえば、物件検索を一人で行える、確認を受けながら案内できる、申込書類を漏れなく準備できるなど、自社の仕事に合わせて到達点を設定します。具体的な期間と習得順は、経験の有無や店舗の業務に合わせて調整してください。
社長が担う仕事と、外部へ任せる仕事を分ける
採用担当者がいないからといって、求人に関する作業をすべて社長が抱える必要はありません。社長が担うべきなのは、採用する理由、担当業務、給与や休日などの条件、会社として譲れない基準、面接、最終判断です。会社の実態と経営判断に関わる部分は、外部だけでは決められません。
一方、掲載先の比較、求人原稿の構成、写真や情報の整理、掲載作業、閲覧や応募状況の確認、原稿の改善案づくりは、採用支援会社へ任せる方法があります。外部へ丸投げするのではなく、社長が決めた採用条件と現場情報を共有し、運用作業を分担します。これにより、社長は通常業務を続けながら、応募者との対話と採否の判断へ集中できます。

RELIKE RECRUIT
RELIKE RECRUITは、自社でも不動産店舗の運営、買取再販、リフォーム事業を行う立場から、不動産・建築業界に特化した採用支援を提供しています。採用課題に合わせて、次のメニューを組み合わせてご提案します。
- 求人広告掲載:採用する人物と仕事内容を整理し、経験者にも未経験者にも実態が伝わる求人原稿へ落とし込みます。
- 定額制 求人検索エンジン運用:初期費用を抑えた月額定額制で、継続的な運用と改善を行い、安定した採用活動を支援します。
- 採用サイト・求人LP制作:店舗、仕事、教育、働く人の情報を詳しく伝え、応募につながる受け皿を制作します。
まとめ|賃貸営業の採用は掲載前の準備で決まる
少人数の不動産会社が賃貸営業を1人採用するために、知名度や大きな採用予算だけが必要なのではありません。どのような1人が必要かを決め、担当業務、条件、教育を具体化し、応募者が入社後の働き方を判断できる求人にすることが出発点です。そのうえで、閲覧から入社までのどこで止まっているかを確認し、応募へ素早く対応します。
社長が採用を兼務していること自体は不利ではありません。会社の考えを直接伝え、応募者の疑問へ向き合い、最終判断を早く行えることは、少人数の会社ならではの強みです。ただし、求人掲載後に返信方法や面接基準を考え始めると、通常業務の忙しさに選考が左右されます。掲載前に返信文、面接枠、共通質問、書面、入社案内、教育計画まで準備してください。
媒体選定、求人原稿の作成、掲載後の改善は外部と分担し、社長は採用条件の決定、面接、最終判断へ集中できます。「1人採用できたら終わり」ではなく、その人が仕事を覚え、安心して顧客を担当できるところまでを採用活動として設計することが、賃貸営業の採用と定着につながります。